球際でのタフなプレーや正確なキックが持ち味のMF増田誓志。
鵬翔高を卒業後、将来を嘱望された増田は争奪戦の末に鹿島アントラーズに入団。
ボランチやシャドー、トップ下など様々なポジションをこなし2007年から3年連続でのリーグ優勝に貢献した。
2012年にはザッケローニ監督に招集され、キリンチャレンジカップ・アイスランド戦で代表デビューを果たした。
28歳となった2013年からは韓国1部の蔚山現代でプレー。2017年には中東1部リーグのアル・シャールジャでプレーするなど海外でも活躍した。
増田誓志のJリーグ入り前
増田は1985年に宮崎県宮崎市に生まれた。
6歳の時に2歳上の兄の影響でサッカーを始め、小学校入学後に強豪の木花少年団に入団した。
宮崎市立木花中学校入学後、サッカー部で活躍。この時期にブラジルへの短期留学を経験した。
中学校卒業後、鵬翔高等学校へ進学。
同学年に上田常幸（コンサドーレ札幌）、1学年下に興梠慎三（鹿島アントラーズ）、入船和真（サンフレッチェ広島）がいる。
鵬翔では同校のエースナンバーである背番号13を背負い、チームの司令塔として活躍。
選手権には1年次と3年次に出場、インターハイ、国体にも出場した。
高校3年次にはU-18日本代表に選出。
中村北斗（国見高）、平山相太（国見高）、増嶋竜也（市立船橋）、カレン･ロバート（市立船橋）らとともに新潟国際ユースや、AFCサッカー選手権大会マレーシア2004予選に出場した。
増田は中央だけでなくトップ下やサイドなど中盤ならどこでもハイレベルで対応可能なユーティリティ性を生かし、数々の国際大会で出場機会を掴んだ。
高校卒業後、数多くのオファーの中から鹿島アントラーズへ入団。
同期入団に田中康平（帯広北高）、杉山哲（福岡大学）がいる。
増田誓志のJリーグ入り後
増田は高卒入団1年目ながら、加入年の2004年5月2日第7節ヴィッセル神戸戦にて先発でJリーグデビューを果たす。
本山雅志の出場停止により巡ってきたチャンスを生かすと、前半29分に平瀬智行のクロスを左足で合わせてJリーグ初ゴールを決めた。
この試合は後半にフェルナンドが決め2-0で勝利。増田のこのゴールはJリーグ史上初の高卒ルーキーデビュー戦決勝弾となった。
同年は第9節大分トリニータ戦でも先制ゴールを決め勝利に貢献。
後半戦は出場機会が減少したがリーグ戦8試合で2ゴールをマークした。
またこの年はU-19日本代表に選出されSBSカップに出場した。
2005年は層の厚い鹿島の中盤の中において一定の出場機会を得る。
リーグ戦19試合2ゴールを決め、同年の天皇杯4回戦ホンダロック戦ではハットトリックを記録した。
2006年にはパウロアウトゥオリ監督によりボランチにコンバートされ、リーグ戦23試合に出場。
開幕戦からボランチとして出場を続け、リーグ戦23試合に出場。
U-21日本代表に選出されると背番号10を背負い、ドーハ・第15回アジア競技大会に出場。
12月に行われたグループリーグ北朝鮮代表との試合では敗れはしたものの一柳夢吾の同点ゴールをアシストした。
2007年から鹿島は3年連続でリーグ優勝を黄金期に突入する。
増田は中後雅喜や青木剛などのボランチの控えに回ることが増えるも3年連続でリーグ戦2桁出場を果たし、鹿島の黄金期を支えた。
2007年にはU-22日本代代表として北京オリンピックを目指すU-22日本代表に選出され、アジア2次予選5試合に出場し予選突破に貢献。
しかし翌年に行われた北京オリンピック本戦メンバーからは漏れた。
2010年は出場機会を求めてFW田代有三とともに、J1モンテディオ山形へレンタル移籍。
山形では背番号8を背負い、ボランチやシャドーで活躍。
リーグ戦26試合に出場し1ゴールを決めた。
2011年からは鹿島アントラーズに復帰。
ボランチとして不動のレギュラーを掴み、リーグ戦32試合に出場し5ゴールをマーク。
7月にはザッケローニ監督により日本代表に初招集され、トレーニングキャンプに参加。
ワールドカップ・アジア3次予選のメンバーにも抜擢されたが出場機会はなかった。
2012年2月24日、引き続き代表に招集された増田はキリンチャレンジカップのアイスランド代表との試合でに先発出場。
待望の代表デビューを飾った。遠藤保仁とともに中盤の組み立て役を担いフル出場を果たす。
3-1での勝利に貢献し、危険なスペースを埋める献身的な活躍を見せた。
同年は選手会長に就任し、更なる飛躍が期待されたがリーグ戦14試合の出場に留まるとこの年をもって鹿島を退団。
2013年は初の海外移籍となる韓国1部リーグの蔚山現代FCへ完全移籍。
正確なキックとハードワークが評価され、ボランチの地位を確立。
加入初年度はリーグ戦35試合に出場し4ゴールを決めるなど、蔚山現代にとって必要不可欠な選手となる。
しかし2014年は、このシーズンの指揮をとったジョ・ミングク監督の起用法に合わず出場機会に恵まれなかった。
増田はリーグ戦で苦戦していたJ1大宮アルディージャからオファーを受け、レンタル移籍。
ボランチとしてチームの立て直しに貢献するも、終盤に失速し大宮はJ2に降格。
増田は蔚山現代FCに復帰することになった。
2015年に蔚山現代FCに復帰以降はユン・ジョンファン監督のもとで主力として活躍。
ボランチとして安定したプレーを続け、2年間でリーグ戦63試合に出場した。
2017年はUAE1部リーグのシャールジャFCへ完全移籍。
2013年にアル・ナスルSCへ移籍した森本貴幸以来、中東でプレーする2人目の日本人選手となった。
しかし出場機会に恵まれず、同年7月に双方合意の下で契約を解除。
8月には日本に復帰し、清水エスパルスに移籍した。
清水エスパルスでは加入間もなく左ハムストリング肉離れで全治4週間と診断されるも、シーズン終盤に復帰。
第34節ヴィッセル神戸戦では前半26分に金子翔太からのパスを右足で蹴りこみ、逆転に成功。
清水はこのまま勝利を挙げ、清水のJ1自力残留に貢献した。
しかし2018年はリーグ戦での出場機会はなく、この年をもって清水を退団。
2019年は再び韓国に渡り、2部リーグのソウルイーランドFCへ移籍。
背番号6を背負い、リーグ戦12試合に出場するもチームは2年連続で最下位となりこの年をもって現役を引退した。
増田誓志の引退後と現在
増田は現役引退後、実業家に転身。
山形県の飲食店「韓国酒場 チャン」のオーナーを務めている。
また指導者としても活動し、地元宮崎でのサッカー教室を定期的に開催。
古巣であるモンテディオ山形の試合では解説者としても活躍している。
