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水内猛の現役時代、生い立ちやプレースタイルに迫る【第187回】

一瞬のスピードでマークを外しワンタッチで決める決定的を備えたストライカー水内猛。

身長170センチと小柄ながらも空中戦に強く、絶妙なポジショニングの良さを生かしたヘディングでのゴールも多かった。

1993年には浦和レッズ最多となる得点をマーク。水内がプロ契約ではなく三菱所属の社員選手だったという事もあり注目を集め全国的な知名度を誇った。

明るいキャラクターでゴール後のユニークなパフォーマンスでも有名な水内猛に迫る。

水内猛のプロ入り前


水内は1972年に神奈川県横浜市に生まれた。

小学校からサッカーを始め、横浜市立汲沢中学校に進学後サッカー部に所属する。

神奈川県立旭高等学校3年時に全国高校サッカー選手権に出場。

2回戦では斉藤俊秀ようする清水東高校を相手に値千金のヘディングゴールを決め、1-0での勝利に貢献。

準々決勝では上野良治や、木寺浩一ようする武南高校と対戦。

試合終盤まで均衡した試合が続くがロスタイムに決勝点を決められ敗退したが水内は大会優秀選手に選出された。

高校卒業後の1991年までに三菱自動車工業へ入社。JSL1部の三菱重工サッカー部でプレーする。

水内が入社する時に既にJリーグが始まる事は決まっていたがプロ契約は叶わなかった。

午前中は会社で勤務し午後から練習をする日々を送る。若手だった水内はボールに空気を入れたり、ラインを引いたり、スポーツ飲料を作ったり、ユニフォームを洗ったりと雑用もこなした。

1992年からは三菱の社員選手として浦和レッズでプレーし1993年の開幕を迎えた。

水内猛のプロ入り後

Jリーグ開幕後、1993年サントリーシリーズ第8節鹿島アントラーズ戦で初めてベンチ入りすると後半途中にMFウエハラに代わって初出場を果たす。

続く第9節清水エスパルス戦で途中出場からJリーグ初ゴールをマークした。

この年はエース福田正博やベテランFWの柱谷幸一が怪我で離脱した事や期待の外国人FWフェレイラが早々にレギュラーから外れた事も重なりレギュラーに定着。

浦和レッズはなかなか勝ち星をあげられず最下位争いをする苦しいシーズンとなったが水内はその中でチームトップとなるリーグ戦7ゴールを挙げた。

また水内が社員選手という事もあり注目を集め、ゴール後のユニークなパフォーマンスもあり全国的な人気選手となった。

この年のNICOSシリーズ最終節ガンバ大阪戦では2ゴールを決め2-0での勝利に貢献。

1994年シーズンは開幕戦から福田正博と2トップを組み先発出場を果たす。第3節ジェフ市原戦で早くもこのシーズン初ゴールを決めた。

前年度を上回る活躍を期待されたが同期入団の岡野雅行やこのシーズンにガンバ大阪から加入した佐藤慶明の台頭もあり、水内は先発を外れる事が多くなった。

岡野の爆発的なスピードや佐藤の188センチの長身を生かした打点の高いヘディングは浦和にとって大きな魅力であり、スピードや高さでは両者に劣る水内はスーパーサブのような立場となった。

結局このシーズンは前年を上回るリーグ戦20試合の出場を果たしたが2ゴールに留まる。

1995年シーズンはサントリーシリーズは出場の機会が与えられたがNICOSシリーズからは清水エスパルスからトニーニョが加入した事もありベンチから外れる試合が続いた。

1996年からはJFLのブランメル仙台(現ベガルタ仙台)に移籍。

仙台ではトップ下にリトバルスキーがおり、元Jリーグ得点王のオッツェと2トップを組んだ。

水内はこのシーズン、オッツェの20ゴールに次ぐ15ゴールをマークした。

1997年も主力として活躍しリーグ戦22試合に出場するが3ゴールに留まりこの年で仙台を退団。

その後はスペインに渡り2部リーグへの挑戦を志すが断念。25歳で現役を引退した。

水内猛の引退後と現在

水内は引退後、スポーツキャスターとして、数々のテレビ番組に出演。

テレビ埼玉が放送するGGR(浦和レッズ応援番組)では長きに渡ってメインキャスターを務めている。

水内はゴール後のパフォーマンスについて好きだからやっていたのもあるが、何かをやってくれるという期待感をサポーターにもってもらいたかったからと後年のインタビューで語っている。

当時の水内はレギュラーを確約された訳ではなく出場機会も限られており、浦和も最下位を争う得点が少ないチーム状況だった。

その中で水内は生き残る為にパフォーマンスをした。当時は全国放送のゴールデンで試合を放送されていた事もあり水内猛の名は全国的に広まった。

Jリーグはプロである以上エンターテイメントでもある。試合に勝つのが全てではない。

たとえ勝てない試合が続いてもサポーターを沸かせ、勝利以外の楽しさを与え続けた水内猛の功績は大きい。

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