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古賀琢磨の現役時代、生い立ちやプレースタイルに迫る【第234回】

左右どちらでもこなせるサイドバック、古賀琢磨。

俊足を生かしてアップダウンを繰り返し90分尽きる事のない豊富なスタミナで創成期のジュビロ磐田を支えた。

フィジカルにも定評があり1対1の場面では無類の強さを発揮。攻撃では意表を突いたオーバーラップから精度の高いクロスでチャンスを演出した。

引退後はミャンマーやシンガポールなどで指導にあたる国際的な指導者となった古賀琢磨に迫る。

古賀琢磨のJリーグ入り前


古賀琢磨は1969年に静岡県清水市に生まれた。

弟に横浜マリノスやサガン鳥栖でプレーする古賀正人がいる。

清水市立三保第二小学校に入学後にサッカーを始め、小学3年生の頃に選抜チームである清水FCに入団する。小学6年時に出場した全日本少年サッカー大会では全国3位に入賞した。

小学校卒業後、清水市立第五中学校へ進学。中学入学後も清水FCでプレーしU-16日本代表にも選ばれた。

高校はサッカーの名門である清水東高等学校を選択。2学年上に武田修宏、2学年下に相馬直樹がいた。澤登正朗ら擁する東海大一の前にも敗れ全国高校サッカー選手権への出場の夢は叶わなかった。

高校卒業後の1988年に順天堂大学に進学。サッカー部に所属する。同級生には森山泰行小村徳男棚田伸平岡宏章がいた。順天堂大学では総理大臣杯や春季大会などのタイトル獲得に貢献した。

大学卒業後、当時JFLのヤマハ発動機サッカー部(現ジュビロ磐田)に入団。初年度からリーグ戦15試合に出場し2得点を挙げる活躍を見せる。

翌年にもリーグ戦14試合に出場しジュビロ磐田のJリーグ昇格に貢献する。

古賀琢磨のプロ入り後

ジュビロではJリーグ初年度からサイドバックのレギュラーとしてプレー。左右どちらでもプレーができ、豊富なスタミナとスピードで多くのチャンスを演出した。

1994年はリーグ戦37試合に出場。11月19日第22節鹿島アントラーズ戦では前半4分にJリーグ初ゴールをマーク。3-2での勝利に貢献した。

翌年の1995年もリーグ戦40試合に出場。4月29日のヴェルディ川崎戦ではJリーグ2ゴール目をマークした。

時折見せるライン際での意表を突いたフェイントで相手を抜き去るドリブルとピンポイントで合わせるクロスを武器に古賀はジュビロでのサイドバックとしての位置を確立。

1997年も主力としてプレーし、ジュビロ磐田の2ndステージ優勝に貢献。同年12月に行われた鹿島アントラーズとのチャンピオンシップでは2戦とも出場し、ジュビロでの年間王者のタイトルを獲得した。

1998年もジュビロで1stステージ制覇を経験し、死闘を繰り広げた同年の鹿島アントラーズとのチャンピオンシップでは2戦とも出場したが鹿島の前に敗れV2達成は成らなかった。

1999年シーズン途中に同じ静岡県の清水エスパルスに移籍。サイドバックが本職だったがCBとして起用される事が多く森岡隆三斉藤俊秀とともに3バックの一角を担った。

2003年にセレッソ大阪へ移籍。

セレッソ大阪でもセンターバックとしてプレーし、3月22日第1節ヴィッセル神戸戦でセレッソデビューを果たす。柳本啓成や鈴木悟と共にスピードとフィジカルを武器にセレッソのDFを支えた。だが2ndステージはブラジル人DFジョアンが起用された為、出場機会が減少。

古賀琢磨は同年シーズン終了と共に現役を引退した。

古賀琢磨の引退後と現在

古賀琢磨は引退後、セレッソ大阪下部組織のコーチに就任。

2011年からは海外に拠点を移し、シンガポールU16代表監督やU21東ティモール代表監督などを務めた。

現在はミャンマーアカデミーの監督を務めている。

JFAからアジア各国への指導者の派遣は年々盛んになっている。前日本代表監督である西野朗氏がタイ代表監督に就任した事は記憶に新しい。

アジアではトップレベルを誇る日本サッカーの指導者がアジアのサッカー後進国へ渡り指導を行う事はメリットが多い。アジア全体のレベルアップに繋がるし、その国と日本のパイプ作りにも繋がる。将来、Jリーグへ加入する選手も増えるかもしれない。

そして私がもうひとつ大きなメリットと感じているのがその国の情報を日本に発信できるという事だ。古賀が監督を務めた東ティモールやミャンマーのサッカー事情に精通している日本人は少ないだろう。その国のサッカーがどのような特性があって課題は何なのか、もっと日本に発信する事によって日本人がアジアへ興味を抱き、アジアのサッカーが盛り上がっていくのではないだろうか。

ヨーロッパや南米のサッカーはテレビやインターネットで簡単に観れるがアジアのサッカーに触れるチャンスは少ない。国が変わればサッカーも変わる。

近いようで遠いアジア。まずはアジア諸国のサッカーを知る事が日本サッカー発展の鍵であるように感じる。

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